アニメーションに関する本の紹介

コマ撮りアニメーションの秘密―オスカー獲得13作品の制作現場と舞台裏
この本は、アカデミー短編アニメーション映画賞を受賞したアニメーション13作品が紹介されているインタビュー集です。
図版も豊富で、技術的なことはもちろん、材料、資金、音楽など、様々な制作過程の舞台裏について具体的で詳細な内容が書かれています。取り上げられている手法も多様なので、それぞれの苦労、工夫の違いなんかも判ります。また、ごく一部分ですが動きの抜きコマの図版も載っているので、アニメーションのタイミングをうかがい知ることもできます。
第一線で活躍されているタイプの違う作家をまとめてカラー図版入りで紹介しているインタヴュー本は余りないと思うので、ちょっと値段高めですが、面白く読めると思います。
ちなみに表紙は「ハーヴィ・クランペット」です。


● 掲載作品
ノーマン・マクラレン 「隣人」(1952)
・フランク・モリス 「フランク・フィルム」(1973)
コ・ホードマン 「砂の城」(1977)
フレンツ・ロシェフ 「ハエ」(1980)
ボルゲ・リング 「アンナ&ベラ」(1984)
フレデリック・バック 「木を植えた男」(1987)
・クリストフ・ラウエンシュタイン、
 ヴォルフガング・ラウエンジュタイン 「バランス」(1989)
ダニエル・グリーブズ 「マニュピュレーション」(1991)
・ジョーン・C・グラッツ 「階段を降りるモナリザ」(1991)
・タイロン・モンゴメリー 「クエスト」(1996)
アレクサンドル・ペドロフ 「老人と海」(1999)
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット 「岸辺の二人」(2000)
アダム・エリオット 「ハーヴィ・クランペット」(2003)
アートアニメーションの素晴しき世界
アニメーションの歴史や世界各国の作家の紹介記事などをメインに書かれた本です。アニメーション作家のインタヴュー記事をはじめ、芸能人の方の「私とアート・アニメーション」的な記事も載せているので、初心者にも親しみやすいと思います。
雑誌タイプの薄めの本(143p程)ですし、図版も多く内容もしっかりしてるので、いわゆるアート・アニメーションと呼ばれているジャンルの全体像をつかむには適していると思います。


● 内容
・インタヴュー (浅野忠信 しまおまほ 塚本晋也 市川実和子 佐藤雅彦 他)
         (川本喜八郎 峰岸裕和 野村辰寿 保田克史 他)
・アート・アニメーションの歩み
・20世紀以前ー「映画」発明以前の時代
・1900年代‐1910年代 : ストップモーションの創始とアニメーション映画の誕生
・1910年代‐1950年代 : トーキーおよびカラー映画時代の到来
・1940年代‐1960年代 : パペット・アニメの爛熟期
・1950年代‐1970年代 : テレビ普及の時代
・1970年代‐1990年代 : コンピューター・グラフィックの登場
・対談 (シュヴァンクマイエル ブラザーズ・クエイ ルネ・ラルー)
・その他、作家・作品等の紹介・評論記事 (カチャーノフ ノルシュテイン ラウル・セルヴェ
 上海アニメーション アードマン チェコアニメの新しい波 他)
ユーロ・アニメーション―光と影のディープ・ファンタジー
ヨーロッパ圏+カナダのアニメーションについて書かれた本。特に12人の作家について詳しく焦点を当てて解説(1人4~6ページ)しています。そして前記以外の作家については、国別の紹介ページにて解説がなされています。各国のアニメーションの歴史についても、取り上げられた作家についても重要点がコンパクトに書かれているので、判りやすいです(国の歴史についてはそれぞれ4ページほど、作家紹介は1ページにつき2人、各国4~6人づつの紹介。ただし「中欧・東欧」「その他の国々」には個別紹介はありません)。
それ以外に、政治、音楽、絵画など通してアニメーションの批評が試みられている項目もあり、ヨーロッパのアニメーションについて知るには十分な内容となっています。
モノクロ印刷で図版少なめ、文章中心なので、中級者向け?
表紙は、ルネ・ラルーの「ファンタスティック・プラネット」です。


● 内容
・『光と影の魔術師たち ユーロアニメーションの代表的作家12』
 ・オスカー・フィッシンガー
 ・ポール・グリモー
 ・イジー・トルンカ
 ・ノーマン・ラクラレン
 ・フレデリック・バック
 ・ラウル・セルヴェ
 ・ルネ・ラルー
 ・ヤン・シュヴァンクマイエル
 ・コ・ホードマン
 ・ユーリ・ノルシュテイン
 ・ブラザーズ・クエイ
 ・アードマン・スダジオ
・『根源的イメージへ! ユーロアニメーションの深層圏』
  (・絵画 ・物語 ・深層心理 ・音楽 ・政治)
・『国別にみるアニメーション事情と作家紹介』
  (ロシア フランス チェコ イギリス カナダ 中欧・東欧 その他の国々)
・その他に、コラムやエッセイ、座談会 等の項目あり
アニメーションの宝箱
著者・五味洋子さんの作品に対する思いが溢れた作品ガイドブック。 五味さんは、「アルプスの少女ハイジ」「未来少年コナン」などにアニメーターとして参加されていた方です。
詳細な解説はもとより、それぞれの作品に対する著者の熱い想いも綴られており、読み応えがあります。
古い作品から新しい作品まで(初版は2004年)バランスよく、さらにいわゆる「アート系」から「セーラームーン」まで様々なジャンルのものが取り上げられています。


● 内容
■世界のアニメーション
〈世界アニメ史〉アニメーションの誕生
恐竜ガーティー 蒸気船ウィリー キング・コング 禿山の一夜 ベティの白雪姫 丘の風車 白雪姫 バッタ君町に行く スーパーマン イワンと仔馬 水玉の幻想 皇帝の鶯 呪いの黒猫 仲間はずれの人形 バヤヤ やぶにらみの暴君 飲みすぎた一杯 線と色の即興詩 雪の女王 ライオンと歌 ムーン・バード 電子頭脳おばあさん アルゴ探検隊の大冒険 牧笛 お嬢さんとチェロ弾き 手 ミトン イエロー・サブマリン シレーヌ 歩く ファンタスティック・プラネット チェブラーシカと怪盗おばあさん 霧の中のハリネズミ クラバート 砂の城 ナーザの大暴れ 話の話 クラック! ルクソーJr. ナイトエンジェル 雪深い山国 ウォレスとグルミット-ペンギンに気をつけろ!- ナイトメアー・ビフォア・クリスマス キリクと魔女 老人と海 アイアン・ジャイアント 岸辺のふたり モンスターズ・インク
■日本のアニメーション
〈日本アニメ史〉日本のアニメーションの始まりと発達
くもとちゅうりっぷ すて猫トラちゃん  こねこのらくがき 白蛇伝 ある街角の物語 わんぱく王子の大蛇退治 殺人-MURDER- 太陽の王子ホルスの大冒険 長靴をはいた猫 どうぶつ宝島 鬼 パンダコパンダ アルプスの少女ハイジ 驚き盤 ガンバの冒険 道成寺 無敵超人ザンボット3 未来少年コナン 劇場版 銀河鉄道999 ルパン三世 カリオストロの城 おこんじょうるり 風の谷のナウシカ 火垂るの墓 機動警察パトレイバー 劇場版 ふしぎの海のナディア がじゃいも そらいろのたね 映画 美少女戦士セーラームーンR On Your Mark クレヨンしんちゃん-ヘンダーランドの大冒険- もののけ姫 クジラの飛躍 ドラえもん-のび太の結婚前夜- 人狼 デジモンアドベンチャー-ぼくらのウォーゲーム!- バンパイアハンターD ほしのこえ 頭山 冬の日
※その他、コラムが11本
アニメーションの映画学
加藤幹郎編


アニメーションの評論集です。 ロシアの映画監督・エイゼンシテインが著したディズニー論を視野に入れながら、現代のアニメーション作品を紐解こうとする試みや、コマ数からアニメーションを論じたもの、深海誠作品における風景の意味を論じたものなど、興味深い論文が収められています。




● 内容
・第1章 <原形質>の吸引力
       エイゼンシテインの漫画アニメーション理論 ・・・ 今井隆介
・第2章 柔らかな世界
       ライアン・ラーキン、そしてアニメーションの原形質的な可能性について ・・・ 土居伸彰
・第3章 風景の実存
       新海誠アニメーション映画におけるグラウドスケイプ ・・・ 加藤幹郎
・第4章 複数形で見ること
       商業アニメのメディアミックスのとらえ方 ・・・ 横濱雄二
・第5章 ミッキー・マウスの息吹を計ること
       計量アニメーション学の試み ・・・ バリー・ソルト(川本徹訳)
・第6章 セレクティブ・アニメーションという概念技法
       「リミテッド・アニメーション」の限界を超えて ・・・ 顔暁暉(川本安藝・加藤幹郎訳)

ページのトップへ戻る


Copyright (C)Tingaramation All Rights Reserved.