ジョルジュ・メリエス (Maries-Georges-Jean Méliès)

(1861- 1938)  純粋なアニメーション映画ではありませんが、「月世界旅行」(1902) で、アニメーションの手法が一部使われています。本作品を知らなくても、このDVDの表紙の画を見たことがある人は多いのではないでしょうか。メリエスが亡くなったときに、コートのポケットに小さなパラパラ漫画が入っていたそうだ。この頃の人たちは、「動く」ということが、面白くて仕方がなかったんだろうなぁ。映画もある意味『フィルムのパラパラ漫画』といえるもんね。


エミール・コール (Émile Cohl)

(1857~1938)  アニメーション史最初期に作られた「ファンタスマゴリア (Fantasmagorie)」(1908) は黒バックに白の単純な線画ですが、メタモルフォーゼをくり返し、ギャグの要素が盛り込まれています。当時、このシリーズは大ヒットしたそうです。
「下宿人 (Les locataires)」(1909) は、あるアパートの住人が、隣の部屋に住む新婚さん(?)の部屋を覗こうと壁に穴をあけてしまいます。それに気づいた新婚さんは、いろいろなものに変身したり(この部分がアニメーション)して、覗き見しようとするお隣さんを驚かす、というお話。
その他、「ファントーシュ家での出来事」「結婚の靴」など、コミカルな短編映画をたくさん作っています。


アレクサンドル・アレクセイエフ (Alexander Alexeieff)

(1901~1982 ロシア出身)  妻のクレア・パーカーとともにピンスクリーンという技法を考案した人。ニコライ・ゴーゴリ原作である「鼻」という作品では、窓から差し込む日差しの動きなどに、この技法のもつ特徴・効果がいかんなく発揮されています。
ムソルグスキー作曲の「禿山の一夜」という曲にのせて魑魅魍魎の世界が繰り広げられる「禿山の一夜」(1933)では、メタモルフォーゼや陰影を生かした独特の世界を作り上げています。
他に、「展覧会の絵」(1972)など。


ルネ・ラルー (René Laloux)

(1929~ )  ファンタスティックで独特の雰囲気の作風です。 「ファンタスティック・プラネット」(1973) は、フランスのSF作家、ステファン・ウルの小説『Oms em Serie』(オム族がいっぱい)をもとに映画化されたもの。 ドラーク人という青い肌をした巨人と、彼らに虫けらのように扱われているオム族(人間)の話。
他に、「時の支配者」(1980) 「ガンダーラ」(1987)などの長編アニメーションがあります。


メビウス (Moebius)

(1938~ )  本名は、ジャン・ジロー。彼はアニメーション作家という訳ではなく、バンド・デシネ(フレンチ・コミック)の巨匠です。
「アルザック・ラプソディ」(2002) は、1975年に発表した原作を、彼自身が監督・脚本・デザインしたアニメーション作品。白い"プテロイド"に乗って多元世界をさすらう伝説の戦士アルザックを描いたSF作品で、1話 3分半X14話で構成。綺麗なグラフィックで、コミックを読み進めているような感覚になります。
また、ルネ・ラルーの「時の支配者」ではアニメーション監督とキャラクター・世界観設定を担当しています。
★作家HP:http://www.moebius.fr/Site-officiel-de-Jean-Giraud-Moebius---Official-website


ポール・グリモー (Paul Grimault)

「やぶにらみの暴君/(王と鳥)」(1952/(1979完成)) 情感あふれる長編アニメーション。全体の8割程出来たとき、資金問題などでグリモー達は解雇。52年にいったん無理やり完成させられて「やぶにらみ~」として公開。その後、グリモーは『やぶにらみ~』を買い戻し再び製作開始。79年に完成させ、「王と鳥」と改題して公開しました。


ジャン=フランソワ・ラギオニ (Jean-François Laguionie)

(1939~ )  ポール・グリモーのもとでアニメーション制作の基礎を学ぶ。デヴュー作でアヌシーのグランプリを獲得した「お嬢さんとチェロ弾き」(1965) や 「大西洋横断」(1978)などは、切り紙を主体としたアニメーション。孤独感を刺激する静かで低周波な幻想空間が広がってます。限定的な動きの切り紙手法が、アンリ=ルソーとポール・デルヴォーを混ぜ合わせたような彼の作風をより引き立てています。


ステファノ・ロナーティ (Stefano Lonati) / イタロ・ベッティオル (Italo Bettiol)

「シャピ シャポ (Chapi Chapo)」(1974~1983) は、フランスのテレビ局で約10年(!)放送されていた1話5分ほどの、小さい子向けの人形アニメーションシリーズ。大きな赤い帽子と青い帽子をかぶった子供、シャピとシャポが、くるくる動き回ります。鳥やウサギ、雪だるまなどいろいろと出てくるキャラはちょっとチープな作りで、そこがまたイイ味に。具体的な場所設定ではなく、白い背景にさまざまな色、大きさのブロックが置いてあるという、ある意味グラフィカルな舞台設定になっていて、ちょっと斬新。そして音楽はなんと、フランソワ・ド・ルーベが担当。彼の電子音楽も、いい味出してます。


ベルナール・パラシオス (Bernard Palacios)

(1947~ )  独特のなごみタッチの絵柄で、ファンタジックな作品を作る方です。「雪深い山国」(1990) は、ヒマラヤへ調査に来ていた測量技師と謎の動物(雪女?)の話。
他に、切り紙を使用した「アイボリー・タワー」(1973)「夜の鳥」(1975) など。


サラ・ロペール (Sarah Roper)

(イギリス出身)  「アパートの猫」(1998)は、主人が留守中に一人ぼっちになった猫が、そっと部屋を抜け出して、、、という話。手書きを中心にコラージュも取り入れています。


シルヴァン・ショメ (Sylvain Chomet)

(1963~ )  「イリュージョニスト」(2010) は80分の長編映画。1950年代、時代遅れの老手品師タチシェフと、彼がどさまわり先の田舎で出会った魔法を信じる少女アリスとの物語。なんとも切ない話です…。でも大好きな作品。オリジナル脚本はジャック・タチ。手品用に飼ってるウサギを上手く使っているところが、この作品がアニメーションで作られて良かったと思わせてくれる所だと思います。
「ベルヴィル・ランデブー」(2004) は、フランスっぽいシュールさ満載長編映画。いろんな意味で突っ込みどころ満載。台詞が少なめなのに飽きずに見られるのは画、構成が練られてるからだと思います。音楽がとっても良い。
『老婦人とハト』(1998)という短編があるのですが、これも思わず突っ込んでしまう面白さがあります。でも、面白さだけでなく、両作品ともにちょっぴり哀しさが滲んでいるところが、彼の作品に惹きつけられるもうひとつの理由なのだと思います。


クロード・バラス (Claude Barras)

「ラビオリ缶詰の魔人」(2005)を最初見たとき、アードマンの短編か?と思った、そんなテイストのクレイアニメ。アラジンと魔法のランプをもじった話。


ジャン=ルプ・フェリシオリ (Jean-Loup Felicioli) / アラン・ガニョル (Alain Gagnol)

「廊下」(2005) は、見終わった後自分の五感、存在感に対する確信が揺らいで不安な気分になる。ある意味フランスっぽい作品と言えるのかな。絵も歪みのある独特な作風で、内容の『歪み』と微妙に交錯しいて、ストーリーをひきたたせています。
「パリ猫の生き方」(2010) は、70分の長編。飼い猫のディノを軸に、泥棒のニコと警察署長の娘・ゾエの心の交流を描くアニメーション。「廊下」などで見られる画風をそのままに、ギャングとの追いかけっこもある、家族そろって楽しめる映画となっています。


ジェレミー・クラパン (Jeremy Clapin)

(1974~ )  「スキゼン」(2008) は、隕石と衝突したはずみで自分と自分以外のものが91cmズレてしまった主人公の話。椅子に腰かけようとすると、実際の椅子のある場所でなく、そこから91cm離れた場所に腰かけると実際にその椅子に座れる、といった感じ。文字にするとアレですが、画を見るをすぐにわかります。自己と社会(他者)との間の内面的なズレをテーマにしています。コメディタッチなのですが、若干暗めの色で描かれているので、見ているうちにだんだん主人公の焦りの感じも画面から伝わってきます。観終わった後、自分が"隕石に衝突"したのはいつ頃だったかな、、、などと考えてしまいます。
★作家HP:http://www.muiye.com/


メルヴァン・シャバヌ (Merwan Chabane)

コミックも描いている人だそうです。なので(?)アニメーションはドローイングで作られています。 「Party Animals」(2007) は、パリを舞台にした恋のお話。一年前に本をプレゼントしてくれたDJに恋心を抱き続けていたサラ。彼女は、あるパーティーでそのDJを見つけるが、彼の方はサラを覚えていなかった・・・。「時が経てば気持ちは変わってしまう」 現実を受け入れていくサラの気持ちにホロっときます。 「Biotope」(2002)は、パリの地下鉄に乗っていた気の弱い男が、口紅を落とした可愛い女性にそれを渡そうとする話。どちらも、日常の何気ない恋の一コマを切り取った感じです。



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