ロッテ・ライニガー (Charlotte (Lotte) Reiniger)

(1899~1981)  「アクメッド王子の冒険」(1926)は、アニメーション史の初期に造られたサイレントの長編影絵アニメーション。アクメッド王子は、魔法使いに空飛ぶ馬に乗せられ、そのまま彼方の島まで飛んで行ってしまう。魔法の島で美しい妖精と出会ったり、中国に行ったり、アラジンが出てきたり、魔法使いと戦ったり、、、と、エキゾチックで、スケールの大きな冒険物話。大勢の人物や動物が一度に動くところか多くあり、よく出来ています。人形、背景は丁寧に細かく作られているので、画として見てもとてもきれいです。このまま絵本にしても良いくらい。 他に「カルメン」(1933)など、短編多数。彼女も女性。


オスカー・フィッシンガー (Oscar Fischinger)

(1900~1967) 抽象的アニメーションの先駆者。1936年にナチスの抽象芸術に対する弾圧を逃れるためアメリカに亡命。ディズニーの「ファンタジア」(1940)の制作初期の段階で協力するも、大衆に分かりやすい具象的な作品になることになってしまったためその制作からは離れてしまった、という経緯を持ってる人です。
「ラジオ・ダイナミクス」(1942)は、セルによる線や単純な形態がリズミカルかつ、複雑に動きます。
「モーション・ペインティングNo.1」(1947)は、ガラスに油絵で描いた最晩年の作品。


アレキサンドラ・シャッツ (Alexandra Schatz)

(1955~ )  洋服を試着していたネコ(擬人化されたネコのキャラ)のコメディタッチの楽しいお話「大きなネコと小さなネコ」(1999)や、 発明家のお父さんを持つ子供のお話「すてきなミリ―」(1998)など、子供向けのかわいい作品を作ってる方。


ギル・アルカベッツ (Gil Alkabetz)

(1957~ イスラエル出身)  「SWAMP(湿地帯)」(1991) は、セリフがなく、ストーリー・画ともにシンプルで楽しい作品。 大きな風船を持った兵士たちが、敵が持っている風船のひもを切ってお互いに湿地帯に沈めて倒していく、という不毛な?戦いを描いたもの。


ラウエンシュタイン兄弟 (Christoph and Wolfgang Lauenstein)

(1962~ )  クリストフとヴォルフガングの双子の兄弟。「バランス」(1989)は、余計なものが一切無いミニマルな画面で、それゆえにテーマが鮮明に突き刺さってきます。空中に浮いた板の上に5人の男が乗っています。板の平衡を保つため、お互いの位置関係を保たなければ、板が傾いて落ちてしまうという状況。そんな危うい"バランス"を保っている板の上で、一つの箱をめぐって5人の争いが始まります。そして最後には哀しい結末が、、、、。人の欲望を通して、自由なようで実はお互い囚われの身となっている、人間の相互関係性などを浮き彫りにします。


イザベラ・プリュシンスカ (Izabela Plucinska)

(1974~ ポーランド出身)  手作り感のあるクレイアニメーションを作ってる方です。 「ブレックファースト」(2006)は、朝食時のちょっとした出来事を切り取った作品。クレイを敷き詰めた背景から窓やテーブルが浮彫のように形作られ、人物は、クレイを紐のようにして作った輪郭線で表現されています。
「ジョゼットのひとり遊び」(2010)は、お母さんが家出?してしまったことをうすうす感じ取った小さい女の子の不安感を、お父さんとのかくれんぼを通して表現している作品。
他に、"ベルリンの壁"の緩衝地帯で起こった実話を元に制作された、ウサギが主人公の「ベルリンの野うさぎ」(2009)など。
★作家HP:http://www.izaplucinska.com/


デイヴィッド・オライリー (David O'Reilly)

(1985~ アイルランド出身)  3DCGなのですが、短編アニメーション作品に限って言うと、これまでありそうでなかったスタイルです。音楽に例えるならPOPなノイズ系? 画面上の"間"と、シンプルで削ぎ落された画作りが心地良いです。モデリングも荒削りでテクスチャーに凝ることもなく、ある意味ものすごくCGチックな画面です。M.I.A.やU2などのPVでも活躍されています。
「THE EXTERNAL WORLD」(2010)は、現代社会を生きる人間の痛み、奇妙さを"今"の感覚で掴み取った感じ。やはり現代って、いろんなところが歪んでいるのでしょうね。また、非現実の世界であるアニメーションの表現が、現実の人間の心にどういう影響を与えるのか?といった問題も、皮肉交じりに投げかけているように思います。
他に「RGB XYZ」(2008) 「?????」(2009)、 ネコとネズミ夫婦のDVの話「プリーズ・セイ・サムシング」(2009)など。
★作家HP:http://www.davidoreilly.com/



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